全国労働金庫労働組合連合会は、全国の労働金庫と関連会社に働くすべての労金労働者の生活と権利の向上、暮らしの安定、労働金庫事業の発展のために活動しています。

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全労金「オンライン学習会」開催報告①

 

全労金「オンライン学習会」について

全労金「オンライン学習会」について
 
 全労金は、2020年度執行方針で確認した単組役員会議(1月開催分)、並びに、組合学校(2月)について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を受け、「中止」とすることを判断したことから、第6回中央執行委員会(2020年12月22日)では、これらの「中止」を踏まえ、WEBを活用したオンライン学習会を開催し、組合役員の教育機会の場とすることを確認しました。
 2020年度の運動の基調では、「労働組合の社会的な役割発揮」を掲げており、役割発揮に向けて、様々な社会的な課題について、組合役員の教育機会の場、学習する場は重要であると考えています。現在、わたしたちの活動は、新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な制限を受けていますが、今できることを考え、労働組合の社会的な役割発揮に向けて、取り組みを進めます。
 
 

オンライン学習会・その1(2021年1月19日)

オンライン学習会・その1(2021年1月19日)
 
 第1回の学習会は、一般社団法人社会的包摂サポートセンター事務局長の遠藤智子氏を講師として、「コロナ禍におけるDV被害の実態」をテーマに、全労金・単組・青年組織役員47名が参加して開催しました。
 遠藤氏からは、①よりそいホットライン、②SNS相談(自殺対策)、③SNS相談(DV対策)、④コロナ禍は女性、若年・非正規雇用、シングルマザーといった女性たちを直撃している、⑤コロナ禍の女性からの相談、⑥DV・性暴力被害の相談事例、⑦これから、について相談事例等を交えながらDV被害の実態報告を受けました。
 冒頭、婚姻関係にある3組に一人がDV被害にあっている実態や、DVとは、身体的暴力だけではなく、精神的・経済的・性的暴力を含めてであること等が述べられました
 ①では、2011年度より、国の補助事業として開始され、1日3万件、1年間で1千件を超える電話があること等が紹介されました。
 ②では、年齢は20~30代が中心であり、自殺対策に関しては、20代以下が多数を占めること、性別は女性が8割近く、女性たちの多くは、「性的な被害(性虐待・性搾取)・性暴力被害等」に遭遇していることが報告されました。
 ③では、コロナ禍でのDVの増加に対応するための緊急事業(「電話・メール・SNS」をセットにした24時間総合窓口)の展開、特別給付金の支給によって、「同居している被害者」の相談に繋がったこと、全国の女性支援民間団体のネットワークできめ細かいケアを実施していること等が報告されました。
 ④では、若年女性の現状として、支援活動を行っている仁藤夢乃さん(一般社団法人Colabo代表)の報告で、「家や学校、児童相談所で何らかのSOSを出しているものの真剣に向き合ってもらえず、大人への不信感をもって自暴自棄になっている事例や、 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、2020年3月からの11月半ばまでで、例年の2.5倍の約850人からの相談を受けていること、内容は、バイト先や学校等の居場所がなくなった、家出して過ごしていたネットカフェ等が閉鎖されて行き場を失った等」が紹介されました。 
 ⑤では、仕事が減る等の経済的困窮、家族との葛藤、オンラインでの仕事の困難さ、失業関連等の報告を受けました。
 ⑥では、コロナ禍のDV・性暴力相談の特徴として、「加害者が家にいる時間が長くなったため、DVが激化する」「精神的暴力と経済的暴力がセットになる事例が多い」「若年層のDVは、身体と性的暴力が苛烈である」「特別給付金により、同居被害者の『被害の自覚』が生まれた」「テキスト相談では、性虐待と交際相手からの熾烈な暴力がみえる」「風俗産業での悩みの相談が可視化されてきた」「マスコミ報道の増加により、若年層の被害が顕在化した」等が挙げられました。
 ⑦では、労働組合の取り組みとして、「情報発信」や「相談対応」について触れられ、社会の中で、人権を守る取り組みをお願いしたいとされました。さらに、労働組合として、DVや性暴力被害に取り組むとしたときに、ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する条約・勧告(190号条約)」では、「DVによる仕事の世界への影響を軽減するための適切な措置をとるよう求めていること」について目を向けるべきと課題提起を受けました。
 DVは、私生活上の問題と考えられてきましたが、190号条約では、それだけではなく、被害者の心身を侵害し、被害者が働く権利を奪い、職場の効率性にも影響を及ぼすことから、使用者にもまたDVの影響を軽減するために適切な措置を求められています。それは、例えば、被害者のための休暇制度を設けること、柔軟な働き方を認めること、また、DVの影響に関する意識啓発をすること等が必要とされています。
 

オンライン学習会・その2(2021年2月5日)

オンライン学習会・その2(2021年2月5日)
 
 第2回は、日本体育大学スポーツマネジメント学部教授(憲法学)の清水雅彦氏を講師として、「労働組合と市民と野党の共闘~現政権の課題私たちの役割~」をテーマに、全労金・単組役員52名が参加して開催しました。
 清水氏からは、①憲法とは何か、②日本国憲法と安倍・菅等自民党政権、③この間の運動を振り返り、今後の運動を考える、④この間の選挙を振り返り、今後の選挙を考える、等について、事例等を紹介しながらの説明を受けた。
 ①では、憲法の役割と構造や近代憲法と現代憲法について触れ、現代憲法とは、20世紀以降の労働運動・社会主義運動を受けて登場し、労働者の成果と資本家の妥協であるとされました。
 ②では、「人権規定と現実」について触れ、1989年に子どもの権利条約が国連で採択され、日本は1994年に批准しているが、「ブラック校則」がなくならない実態について紹介されました。次に、法の下の平等(14条)に関連して、日本では、法人税基本税率を引き下げ、穴埋めに消費税を増税していること、クオータ制の導入により、欧州を中心に女性国会議員4割や女性閣僚が半数となる国が増加していること等が紹介された。
 夫婦・両性の平等(24条)について、民法733条、750条との関係に触れ、女性の再婚禁止期間については、3カ月から、100日間に短縮されたが、女性のみに禁止期間があること、夫婦同姓については、最高裁が「合憲」としたことへの課題認識が示されました。
 自由権(人身の自由)については、2019年の諸外国の死刑制度の状況について、全面廃止国 106、法律上・事実上廃止国36に対し、日本は死刑執行国20のうちのひとつであり、世論調査をすると、死刑制度を支持する人が多い等、人権意識の低さに対する課題認識が示されました。
 次に自由権(精神的自由)については、思想・良心の自由(19条)では、学校現場における日の丸・君が代の強制、信教の自由(20条)では、戦争犯罪者を祀っている靖国神社の首相の参拝、学問の自由(23条)では、学術会議任命拒否問題等について、課題認識が示されました。
 自由権(経済的自由)では、新型インフルエンザ等特措法における私権制限にかかる課題認識が示されました。社会権については、生存権(25条)に触れ、金額・受給率の低い生活保護、本人自己負担率が増加し続ける健康保険制度について述べられました。加えて、1994年の地域保健法改正により、保健所の広域化・統廃合が進んでおり、全国の保健所数は、1991、1992年の 852か所から、2020年には 469か所になったことが報告されました。
 教育を受ける権利(26条)については、奨学金制度の課題、所得による教育格差に触れられ、「東北・九州(宮城・福岡除く)」と「東京」の大学進学率が倍程違うことが報告されました。
 労働者の権利(27条・28条)に関しては、日本の年間総労働時間、年休付与数、取得率、組合組織率、労働協約適用率と欧州との違いについて報告を受けました。
 次に、「統治規定と現実」と題して、天皇(第1章)に触れ、戦前と戦後の天皇制の違いや、天皇制が維持されたのはマッカーサーの意向により、日本を統治しやすくするため(日本の占領政策を順調に進めるため)維持したとされました。
 平和主義(第2章)では、軍隊をもたない国家は26か国あることが紹介されました。
 内閣(5章)では、7条解散を連発し、「解散は首相の専決事項」としているが、憲法にこのような記載はないことが触れらました。
 ③では、「市民と野党の共闘」ではなく、「労組と市民と野党の共闘」が必要とされ、運動の土台を作った「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」についての説明を受けました。そのうえで、この間の総がかり行動での活動に触れ、成果として、「連合、全労連、全労協加盟組織の統一行動の実現」「分裂していた5月3日中央の憲法記念日集会は2015年より統一集会が実現」等があげられ、課題として、「都道府県単位での総がかり体制の構築の不十分さ」が示されました。
 ④では、資料を用いながら、この間の選挙結果について説明を受けました。そのうえで、運動体の課題として、学習活動の重要性や、全国各地での労働組合と野党の共闘が作ることができるのか否かが重要であることが投げかけられました。

 
 

オンライン学習会・その3(2021年2月26日)

オンライン学習会・その3(2021年2月26日)
 
 第3回は、派遣ユニオン書記長の関根秀一郎氏を講師として、「年越し支援・コロナ被害相談村活動報告」をテーマに、全労金・単組・青年組織役員44名が参加して開催しました。
 関根氏からは、①コロナ感染拡大、②年越し支援・コロナ被害相談村、③試食販売で働く2人の女性の無給休業、④ホテルの配膳で働く6人の労働者の無給休業、等について、報告を受けました。 
 ①では、「年越し支援・コロナ被害相談村」を検討するに至った経過として、新型コロナウイルス感染症の影響により、非正規労働者からの相談が殺到し、相談内容からは、非正規労働者の多くが無給休業状態であったことが報告されました。また、無給休業状態のみならず、解雇や雇い止め、派遣切りが発生していた点についても報告を受けました。
 ②では、12月19~20日に実施された全国ユニオン「倒産ホットライン」で、新型コロナウイルス感染症の影響による相談が多数寄せられ、その状況を受けて、12月19日頃から、リーマンショック時に実施した「派遣村」の主要メンバーによって、「コロナ被害相談村」の検討を始めたことが報告されました。検討開始の数日後には、都が運営する東京チャレンジネットを訪問し、検討している活動について報告したうえで、12月22日以降、「コロナ被害相談村」の打ち合わせを進め、12月29~30日、1月2日の3日間の日程で、新宿大久保公園にて「年越し支援・コロナ被害相談村」の支援活動を展開したとの報告を受けました。支援活動については、「3日間を通して 344人の相談者が訪れ、『派遣村』を超える状況であった」「相談者の年代はバラつきがあり、『派遣村』では、製造業を中心とする工場労働者の相談が多かったが、『年越し支援・コロナ被害相談村』では、あらゆる業種からの相談があった」「男性の相談者が多いのは事実であるが、『派遣村』と比較すると、女性の相談者が大幅に増加していた。さらに、外国人からの相談も多数見られた」と報告されました。また、具体的な相談対応では、相談者が単独で、チャレンジネットの申請(都が用意したホテルの宿泊申請)に行くと、受け付けられないこともあることから、公園での相談後には、チャレンジネットの申請に帯同し、生活保護申請についても、水際作戦により、申請しても受理されない事象も発生していることから、同行対応もしたことが報告されました。また、生活保護については、「扶養照会」により、申請をためらう人が多いことも紹介されました。
 労働組合としては、日頃、生活相談よりも、その一歩前の労働相談を受けることが多いが、「コロナ被害相談村」では、生活相談事例が多く見られたことも紹介されました。
 ③では、試食販売で働く女性の無給休業について報告を受け、コロナの影響で、仕事が減ったが、仕事がゼロになっても、休業補償はなく、会社の主張は、「仕事がなく、シフトに入らないだけで、休業ではない」として、休業支援金申請をしても、会社が「休業を命じていない」としたことから、不支給となった事例が紹介されました。そのうえで、立憲民主党衆議院議員と連携し、厚労省への働きかけにより、休業補償の制度拡大の取り組みを展開していることの報告を受けました。
 ④では、ホテルに勤務する労働者の無給休業について報告を受け、③の事例と同様に、会社の主張は、「シフトを入れていないから、労働日はない。よって、休業ではない」とするものでした。加えて、もうひとつのハードルとして、大企業が対象ではなかったことについても触れられましたが、立憲民主党国会議員との連携等により、休業支援金の枠は徐々に拡大し、大企業非正規労働者も対象となったことが報告されました。
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