港区立勤労福祉会館にて、開催されました。全労金からは、石田・中須・河野・新井が参加しました。全体としてマスコミも含めて、約100名が参加しました。
標記セミナーは、今年5月1日から日本でも三角合併(吸収合併の一形態で、吸収合併時の合併対価(消滅会社の株主への対価)として、存続会社の親会社の株式を交付する合併形態のこと)が解禁され、本格的な国境を越えたM&A時代(すでに日本のM&A件数は、2004年以降3年連続で史上最高を記録)に突入しようとしており、特に世界においては、私募ファンドを中心とする非公開投資ファンド(プライベートエクイティファンド;PE)の脅威にさらされていることからも、今後日本もこの状況・問題に焦点を当てることが労使共に必要になっていることから、今回、ジェニングスUNI書記長の来日を機に、IUF専門家であるグリーンフィールド氏を招いて、開催されました。
セミナーは、①基調報告(UNI書記長フィリップ・ジェニングス)、②「投資ファンドによる買収の実態~食品関連産業を中心に~」(IUFプロジェクト・コーディネーター ヒダヤット・グリーンフィールド)、③「金融労組の立場からPEを考える」、④ケーススタディ「サービス連合の事例」、⑤まとめ、の内容で進められました。
①②について、UNI書記長のフィリップ・ジェニングス氏の基調報告、IUFプロジェクト・コーディネーター ヒダヤット・グリーンフィールド氏からの実態報告において、「プライベートエクイティファンドとは、投資のために集められた共同資金で、民間企業に直接投資をすることを目的として運用さ、この資金を管理するファンドマネージャーあるいは管理会社のこと。プライベートエクイティファンドが株式市場に上場されている企業を買収すると、その企業は「株式非公開化」されたこととなり、株式市場から消える。
具体的には、プライベートエクイティファンドは、富裕層や機関投資家から巨大な資金を預かり、それを元手に様々な投資行為を行っている。特に目立つのは企業買収で、あらゆるテクニックを使って短期間に収益を上げ、再び売却して巨利を得る投資スタイルで、その際、脱税や粉飾決算を行ったり、政府を手玉にとって補助を引き出したりといった悪質なやり方をとるケースもしばしばである。土地転がしとは違って、企業はそこに仕事をする人々がおり、社会的責任も大きく、単なる商品として扱えるものではない。しかし彼らの行動パターンはあくまでも短期間で投資を回収することであり、社員が職を失おうが、会社が結果として潰れようが、全く意に介さない例が多く見られる。こうしたやり方に各国で批判が集中し、今年2月に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議では、ドイツのメルケル首相がプライベートエクイティファンドの国際的な規制を提起した。」と報告されました。
③については、損保労連の梅本中央執行委員長より、「企業年金基金の投資先がプライベートエクイティファンドとなっている大企業の基金の少なくなく、企業年金基金の役員となっている労働組合も多いことから、労働組合として果たす役割は非常に大きい。」と提起されました。
⑤について、まとめとして、「プライベートエクイティファンドは、グローバル化がもたらしたマイナス面であり、今、日本に迫り来ようとしている状況である。我々労働組合がこの課題を共有化し、法整備を含め取り組んでいくことが必要である。」とまとめられました。