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ILO「ハラスメント」条約採択等へ向けて

連合「ILOにおける『ハラスメント』に関する条約採択等に向けた集会」

連合「ILOにおける『ハラスメント』に関する条約採択等に向けた集会」
 連合は、ハラスメント対策関連法を背景に日本政府がILO条約案を支持し、条約採択後は批准に向けたさらなる法整備を進めることを求めるために、2019年5月31日、集会を開催するとともに、街宣行動(デモ行進と立憲民主党・国民民主党への要請行動)を実施し、全労金からも集会、その後に実施された街宣行動に参加しました。全体では、集会に295名、街宣行動には204名が参加しました。
 主催者挨拶では、相原事務局長より、「包括的なILO条約案に対して、残念ながら、2019年5月29日に成立したハラスメント対策関連法では禁止規定が見送られ、行為者・加害者の範囲も限定的である。しかし、野党の尽力により様々な論点が明確となり、多くの附帯決議がついた。就活生、フリーランス、教育実習生など社会的に弱い立場にある人たちへのハラスメントも後を絶たない。心に留めて次なる行動に活かしていきたい。ILOは100周年という大きな節目にあり、条約採択となればハラスメントに特化した初めての国際基準となる。一方で、日本政府の昨年の態度保留は多くの失望を買った。今回の法改正は政府の態度を後押しするものであり、条約案を支持するよう強く求めたい。条約が採択されれば、次は批准となる。法律の省令・指針を整備することでより実効性のあるものとし、足らざる内容についてさらなる法改正を求めていくことが重要である。本日の行動をハラスメントなき社会を実現するためのキックオフと位置づけたい」と挨拶がありました。

 
 次に、ILO条約案の動向と連合の取り組みについて井上総合男女・雇用平等局長より、「ILOが掲げる『仕事の未来』という意味からすれば、本年は、ハラスメントを根絶するための条約ができた年として歴史に残り、これから社会に出ていく人たちの環境整備に繋がるはずである。ハラスメントの課題について、職場や地域で共有していただきたい。日本が転換期にあることをアピールしていただき、社会のうねりをつくっていただきたい。新しい国際基準は第一歩。条約の批准まで途切れることなく運動を続けていきたい」と報告がありました。

 
 その後、3名より激励の挨拶を受けました。はじめに、ILO理事の郷野氏より、「ILOは、100年前の1919年に創設されて以来、女性の問題に注意を払ってきている。ハラスメントは最近の問題だが、バングラデシュでセクシュアル・ハラスメントを訴えた女子学生が焼き殺されるなど、特に発展途上国では深刻な問題となっている。この間、基準設定として採択してほしいと要望し、抵抗する使用者側をおさえつつ、ようやくここまでこぎつけた。条約が採択されれば国内法の整備に大きな弾みがつく。特に発展途上国にとって条約は命綱である。条約が柱となってようやく議論が行われる国もある。日本だけでなく、世界にとって条約が重要な役割を有していることを共有したい。昨年、日本政府は態度を保留したが、できない理由を並べる政府の姿勢を変えたい。なぜ前向きな議論ができないのか。皆様の支援を受けながら努力したい」と挨拶されました。

 
 続いて、日本労働弁護団幹事長の棗氏より、「日本で最初にハラスメントの問題が大きく取り沙汰されたのが、1990年代初頭のリストラの嵐が吹き荒れた頃である。その後、様々な事件が噴出している。しかし、法律家の立場からすると判断が難しく、その主な理由は何の立法もなかったから。今回、ようやく法律が実現したが、まだまだ不十分である。一方、ILOの条約案は、仕事の世界におけるあらゆるハラスメントと人を対象としている。特に第5条では、『本条約を批准する加盟国は、暴力とハラスメントのない仕事の世界に対する権利を承認する』等とされている。『日本はハラスメント天国だ』と言われないように、ハラスメントが横行している現状を変えられるように、条約を批准し、国内法をさらに整備して、ハラスメントのない社会を実現するべく、自分たちも闘いたい」と挨拶されました。
 また、ジョイセフアドボカシー・マネージャー(2019G20サミット市民社会プラットフォームジェンダーワーキンググループ国内コーディネーター)の福田氏より、「特に取り組まなければならないこととして、例えば有害なジェンダー規範、固定概念があり、それらを変えない限り、暴力や差別はなくならない。もう一つは性的マイノリティや非正規の問題で、持続可能でだれ一人取り残されない社会を実現するためにはそのような人たちの権利が守られなければならない。組織として声を上げることも大事だが、今はSNSで発信することができる。特に、次の時代を引っぱっていく若者が声を上げることが重要である。今後も市民社会と連合と、一緒になって声を上げていきたい」と挨拶されました。
 集会後には、日比谷公園までデモ行進を実施しました。途中、参議院議員面会所前と衆議院議員面会所前で立憲民主党と国民民主党に対して要請行動を実施し、ともに多くの国会議員、及び、秘書・党本部職員が駆けつけた中、代表して、参議院議員面会所前では立憲民主党・石橋通宏議員、国民民主党・川合孝典議員、衆議院議員面会所前では立憲民主党・大河原雅子議員、国民民主党・玉木雄一郎議員(同党代表)に相原事務局長より要請書を手交し、それぞれ挨拶を受けました。

街宣行動の様子

街宣行動の様子
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