「ILO第190号条約」発効シンポジウム
連合「ILO第190号条約」発効シンポジウム 全労金深見書記長より報告
連合「ILO第190号条約」発効シンポジウム 全労金深見書記長より報告
2021年6月25日、ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する第190号条約」が発効したことを受け、連合は、2021年7月13日(火)にZoomによるWeb形式でシンポジウムを開催し、構成組織・地方連合会、国際産業別組織、国会議員、有識者等109名が参加しました。
プログラムは、①セッション1:「第190号条約のあらましと連合の取り組み」、②セッション2:事例報告「労金業態におけるあらゆるハラスメント禁止ガイドライン制定の取り組み」、③セッション3:「働く女性のエンパワーメント~女性のエンパワーメント原則(WEPs)のハンドブックを題材に~」でした。
冒頭、逢見直人会長代行は、「ILO第190号条約の定義について学ぶとともに、ハラスメント対策関連法と比較して同法では何が不足しているのか理解を共有しながら、職場の就業規則や諸規程、労働協約と照らしあわせ、ハラスメントのない快適な職場環境づくりを進めるための一助にしていただきたい」と挨拶しました。
次に、ILO活動推進議員連盟事務局長の石橋通宏参議院議員から、「日本国内で多くの働く仲間がハラスメントによって苦しい状況に置かれ、人命にかかわる問題も起きている。その解決のためにも、第190号条約批准に向けた努力が必要でだ。法制化の課題を丁寧に解決しながら、批准に向けた環境整備を進めていく。今後も連合の皆さんの協力をお願いしたい」との挨拶がありました。
続いて、ILO高﨑真一駐日代表は、「条約に関しては2018年から世界的に議論されてきたが、その過程においても連合は主要国の労働者代表としてリーダーシップを発揮された。ILOは、ディーセント・ワークの実現に向けた企業と関係者のサポートを継続し、1ヵ国でも多くの国が第 190号条約を批准することを心から願う」と挨拶しました。
①では、井上久美枝総合政策推進局長より、第190号条約やハラスメント対策関連法の概要、国内外におけるハラスメント対策に係る議論経過、条約批准に向けた環境整備と連合の取り組み等について説明を受けた後、質疑応答がありました。参加者からは、「ILO加盟国は第190号条約を批准していなくても、ILOへの報告を求められるとのことだが、報告の内容はどのようなものか」「フリーランスの労働者も第190号条約で保護されることが望ましい」等の質問・意見が出されました。
②では、全労金・深見書記長と、労金協会・菅谷常務執行役員兼法務部長より、「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメント禁止ガイドライン」の制定に至った経緯やガイドラインの概要・意義等について報告し、井上総合局長の進行により質疑応答がされました。井上総合局長から、「経営側として率先して法を上回り、条約に沿ったガイドラインを制定するにあたっては苦労があったのではないか」「企業労使・産業労使で同様の取り組みを行う場合、何がポイントになるのか」などの問いがあり、意見交換によって理解を深めました。
③では、ILO田中竜介渉外・労働基準専門官から、企業の経営戦略とジェンダー平等を関連付けて価値創造につなげる取り組みや、それを働きかけるべき労働組合の役割等について、企業における事例の紹介を含めて解説を受けました。
シンポジウムの様子
シンポジウムの様子